【第29回 旅先の偶然】英語科 ダニエル・ハドルストン先生 | 東明館中学校・高等学校

◆教員リレーコラム◆

第29回の担当は・・・ダニエル・ハドルストン先生(英語科)

お題『旅先の偶然

 

 

 何年前のことだったかわからないが、ある夏休みに鹿児島市に行きました。九州新幹線はまだできていなかったので、JRから私鉄に乗り換え、またJRに乗って南へと進みました。海岸の光景は素晴らしかった。紺色の海に大きな岩々。鹿児島市に到着するといろいろな歴史的な場所を訪れました。桜島で溶岩に刻まれた詩を読もうとしたのを覚えています。

 でも、特に印象的だったのは鹿児島水族館。ジンベイザメを眺めながら時間を忘れました。

 帰り際、バス停で老人夫婦とバスを待っていました。バスが到着して、婦人が先に入り、その旦那さんが後に続きました。が、バスに乗るための階段はかなり高かったです。彼が乗ろうとするときにバランスを崩し、高い位置から後ろへ落ちそうになりました。僕は慌てて手を伸ばし、背中を軽く押しました。

 自分がバスに乗り込む前、たまたま後ろを振り向きました。後ろには誰もいませんでした。すなわち、テネシー出身の外国人が佐賀市に引っ越して来て、その日にその町を旅行し、その水族館を訪れ、そんな長い時間ジンベイザメを見ていなかったら、あの老人は酷い怪我を負ったかもしれません。

 今時多くの人々は家に籠っていると思います。パンデミックが理由か口実かは人それぞれ。僕にも籠って趣味に浸る傾向が強い。だが、外に出るのは偶然が起こりうるときです。いいことも悪いことも予測できないが、たまには、誰かの「いい偶然」となることがあるでしょう。

 

毎週金曜日更新!次回お楽しみに・・・